愛着障害は治る~愛着の傷の修復

なりたい自分になることを決断することは、愛着の傷の修復に有益です。自分がどうなりたいのか。本当にしたいことは何なのか。それがわからないままに悩んでいるという人がいます。「心の病気であることを大切な人達に知らせておくほうがいいですか?」と質問してくる人に、「むしろ、私は健康ですと宣言し、そのようにふるまっていくと、本当に治っていきますよ」と回答すると、「もし、具合が悪くなったらどうするんですか?そんな答えをするのは人間ではありません(怒)」と憤慨します。

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心の病気であることに逃げ込む人々

このような反応をする人とは、本当は病気であることを望んでいるのです。病気であれば、周囲から大事にされる。だから知らせるほうが都合がよいのです。それなのに逆の回答が来るので、不快になっているのです。「治りたい、よくなりたい」というのが、自分の本当にしたいことであれば、どうすればそれが叶うのかを考えます。そのためのアドバイスも受け取ることができます。ところが、「自分に病気という付加価値がつくことで、自分が大事にされる、周囲の愛情を受け取れる」という観念がなかなか捨てられないのです。これでは、愛着障害を手放すことは永久にできません。この人にとって愛着障害は、周囲から愛情を奪うための道具として、絶対に手放せない存在となっています。周囲の愛情は、こんな小道具を使わなくても得られます。それは自分が愛情を先に出すことです。出したものは必ず戻ってくるのです。本当に望むことは、周囲から愛されることだったのかもしれません。病気に頼らなくてもそれは実現できます。自分が本当は何をしたいのか、本当はどうなりたいのか。この問いかけは大事です。「自分が本当は何をしたいのか」がわからないと、的外れな質問、本質からずれた質問をするのです。自分がどうなりたいのかについて、よくわかっていないからです。「自分の本当の目的から見ればどうでもよいこと」で悩んで、堂々巡りをしていることはありませんか?自分の本当の目的をたえず振り返るようにすることはとても大切なことです。

自縄自縛から脱するには観念の枷を外す

人生が行き詰ったようになっている人の共通点は、「不自由な視点から不自由に観察している」という状態になっているところです。「この場で一生懸命頑張り続けるのが正しいのだ」「子どもは親にこのように対応するのが正しいのだ」「夫婦はこのようであるのが正しいのだ」などなど、いろいろなことを頑強に思い込んでいるのです。その観念の枷が自分を縛り、自縄自縛の状態をつくるので、とても苦しく不自由になります。自分を負の観念で支配することは苦しく不自由なことです。また伴侶や親や子を観念で支配することも苦しく不自由なことです。そのようなネガティブな支配からは、解放されて自由になりたいのが人の自然な姿です。過去や人のネガティブな部分をいっしょうけんめいに見つめることに縛られるのではなくて、自分の今と未来を幸せなものにするために、自分のビジョンを作っていくことが大切です。今と未来のビジョンを一生懸命に考えているときには、今と未来の理想像の中の自分、周囲の人、家族はいますが、それはとても幸せで理想的な姿なのでストレスがありません。自分が見る方向をどこに向けるかです。ネガティブなものに意識を集中させてしまっていたのをやめて、別のところに意識を集中させるだけです。意識が集中すると、幸せな感情が沸いてくる未来のビジョン、つまり夢と希望に、自分の意識をむけるということです。それは下をむいていた人が上をむくようなものです。そうするだけで見ている世界が変わってきます。人は自分の意識がフォーカスしたものを引き寄せていきます。もっと自由に世界を見れば自縄自縛から解放されます。心に念じているセリフがあなたの現実をつくります。

あなたの信念があなたの人生の現実を創造

自分で書いた人生脚本を書き変えることは可能です。愛着障害を完治させる方法は、本人の思考を変えることです。思考を変えるとは認知のゆがみを解除することです。心理療法や催眠療法で認知のゆがみを解消することができます。愛着障害になっている人やそのほかのメンタルの疾患、たとえば、うつ病などの人の特徴は、否定的な言葉や語句に対する反応が強化されているところにあります。脳血流を調べる装置で測定すると、自己否定や自己批判につながる言葉などのネガティブワードを見聞きするととたんに脳血流が増加することが判明しています。そんな患者も心理療法などで思考様式が変化し、認知の歪みが解除され、マイナス思考の悪習慣から解放されると、脳血流の状態が正常化することが、すでに判明しているのです。認知行動療法をよく研究している医師達は、この心理療法の本質が、暗示効果にあることを理解しています。いろいろな思考法を患者に提示して、思考の悪習慣を修正する認知行動療法ですが、その背景にあるのは、プラス暗示を入れれば、心身は好転化するという作用です。認知の歪みが正されることで健全な思考様式が回復すれば、その人の潜在意識に日々に入る暗示が肯定的で健全なものになり、結果的に脳内ペプチドが改善し、脳の傷も修復され、愛着障害によるさまざまな苦悩や、うつ病や双極性障害が治癒していくのです。ところが精神科医にかかると、一生、薬を飲みなさいといわれ、まるで不治の病気のように扱われてしまいます。認知行動療法は、思考の悪習慣を修正することができる心理療法の一つです。自宅にいながら自己訓練で習得できる書籍など教材もあります。さまざまな治療との併用で効果が増しますので、やってみる価値はあるのです。あなたの愛着障害は、心理療法で改善できる可能性があります。理解を深め、さらに意識の中身を変える肯定的な思考法を学ぶことは有益です。愛着障害を背景とする恋愛の苦しみを抱えている人だけではなく、うつ病や双極性障害で苦しんでいる人にもおおいに助けになります。愛着障害は認知の歪みが正されることで健全な思考様式が回復すれば、その人の潜在意識に日々に入る暗示が肯定的で健全なものになり、結果的に症状が軽快していくのです。

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