パーソナリティ障害は治るのか?

パーソナリティ障害で悩んでいる人の多くが持つ疑問として、パーソナリティ障害は果たして治るのか、治せるのか、という疑問があります。古い精神医学では、人間の性格というのは簡単には変化しないものであり、「性格は治らない」といった表現がなされることも多かったようです。その後、心理学や精神医学の研究が進むにつれて、性格についての理解が深まり、その中で、人間の性格は変わりうるものであると考えられるようになってきています。

性格の中の変化しうる部分を変えてパーソナリティ障害を治す

人間の性格には、変わる部分と変わらない部分があり、変化しうる部分を変えることで、生き方が大きく変容して、人生そのものも改善するということが次第に明らかになってきています。パーソナリティ障害がそのようにして治った状態のことをパーソナリティスタイルと呼ぶ専門家もいます。障害とスタイルの違いは何か。障害とは、人生における生きづらさや対人関係における苦悩をたえず抱えている状態のパーソナリティであるということです。スタイルというのは、まさしく個性の範囲であって、そこに生きづらさは存在しません。その状態はいわば未熟だった人格が成熟したようなものと考えてよいものなのです。パーソナリティ障害が治るとパーソナリティスタイルに落ち着くということです。そして、パーソナリティスタイルとは人間であればだれでも持っている個性のようなものといえるのです。認知行動療法に代表される心理療法によって、未熟な人格を成熟させることが可能であり、障害はスタイルに変容し、パーソナリティ障害は治るのです。

自殺企図や不安障害や依存症などがあればパーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害に代表されるパーソナリティ障害では、平穏な日常生活を営むことが大きく妨げられます。医学的には、自傷行為や自殺企図、パニック障害や不安障害、うつ病、双極性障害、摂食障害、さらには薬物乱用や恋愛依存、性依存、虐待やDVなどの問題を抱えている状態が、パーソナリティ障害であり、このような社会的な不適応ともいうべき、状態が何もないところまで改善すれば、それは、パーソナリティ障害が治って、パーソナリティスタイルの範囲に落ち着いているということなのです。パーソナリティスタイルというとき、それは個性であり、病気ではありません。これが、パーソナリティ障害が治った状態といえるものなのです。そのような好ましい状態に到達するためには、第一に、パーソナリティ障害を理解し、病気への自覚や意識を持ち、問題となる認知の歪みをひとつひとつ、解消していく作業が大切となります。認知の歪みについては理解を深めるのに一定の時間がかかりますし、その歪みを解消するにも段階的に行う、訓練としての要素が欠かせません。その過程を支えてくれる援助者がいれば、パーソナリティ障害はどのタイプであっても、改善しうるものであると言えます。良い医師や良い心理療法家に巡り合うことができれば、パーソナリティ障害は治るということです。

パーソナリティとは性格と気質を合わせた概念

現代の心理学や精神医学の認識として、パーソナリティという言葉は、性格と気質の統合と理解されています。性格とは、心理的、社会的なものであり、気質とは、遺伝的、器質的な側面を意味します。しかしながら、実際にはこれらを分離して対処することはできません。確かなことは、「新奇性探求」、「損害回避」、「報酬依存」、「固執」といった気質の要素は生まれながらの要素が強いという点です。ということは、この部分は個性として認めて、活用していくほかない先天的な部分といえるかもしれません。一方、「自己志向」や「自己超越」や「協調」というような要素は、成育歴での体験で、それぞれが学習していく中で身に着けるということがわかってきています。この部分は、心理療法の関与によって後天的に改善ができるということでもあります。パーソナリティ障害の形成は、心理的、社会的な要因の影響下で起きているともいわれており、その部分は、修正が可能である以上、パーソナリティ障害の克服は可能だという結論となるのです。愛着障害を緩和することで境界性パーソナリティ障害が癒えるのも、こうした仕組みが働いてのことだと思われます。

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