「低い自己価値」「見捨てられ不安」の解消

パーソナリティ障害を持つ人の多くが抱えている認知の歪みとして、「低い自己価値」「見捨てられ不安」があります。この二つの認知の歪みは、多くのパーソナリティ障害に見られるばかりではなく、発達障害の傾向がある人も持っていることが多いです。パーソナリティ障害の型にかかわらず、この二つの認知の歪みを解消する心理療法は有益です。

低い自己価値が生まれる背景

低い自己価値が形成されるのはなぜでしょうか。それは幼児期の両親のかかわり方が大きな原因です。本来、幼児に対しては、親は受容的、共感的にかかわることが大切です。そうしないと愛着障害を起こします。共感的とは、幼児の気持ちをそのまま受け止めてあげるかかわり方です。わかりやすく言えば「そうなのね」「そうなんだね」と感情を認めてあげることです。幼児がさみしがっていたら、「さみしかったんだね」とまずは感情を受け止めるように接してあげることが大切なのです。また、受容的というのは、親が子供に強要したり、束縛したりすることはできるだけ減らし、頭ごなしに叱るよりも、対話を繰り返して人格を尊重するようにかかわることで達成できます。

親が子にどう接するかが子供の認知の歪みを左右

受容的、共感的に育てられると、子供は自分自身のセルフイメージを健全なものに育てることができます。この反対が、親からひどい言葉で侮蔑されたりバカにされることです。「お前はバカだから努力しても無駄」と言ったり、「産むんじゃなかった」と存在を否定するような言葉を言われることで子供のセルフイメージは壊され低い自己価値を持つようになります。自信がないのですぐにあきらめるし、チャレンジができない弱い人間になっていくのです。努力することや学ぶことから逃げるような人間性になります。低い自己価値が非常に強い場合、依存性パーソナリティ障害や回避性パーソナリティ障害になることが多いです。

見捨てられ不安が生まれる背景

見捨てられ不安は、親子のコミュニケーションが、支配、被支配の関係にあると生まれます。親が子供に「言うことを聞かないなら、捨てるぞ」と脅したり、ほんとうに虐待されて、外に出されたり、食事を抜かれたり、暴力を受けると、それらの迫害によって、子供の心に、「いつ見捨てられるかわからない」という不安の観念が育っていきます。迫害を受ければ受けるほど、この観念は強固に形成されて、成長した後の行動様式を束縛していくのです。見捨てられ不安が非常に強いと境界性パーソナリティ障害になったり、自己愛性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害になることが多いです。


愛着アプローチ 医学モデルを超える新しい回復法

愛されたいために見捨てられまいとする

それらのパーソナリティ障害に共通することは、とにかく他者に見捨てられまいとして、異常な行動をしてしまうことです。境界性パーソナリティ障害ならリストカットなどの自傷行為や薬物依存などさまざまな依存を起こしたりします。自己愛性パーソナリティ障害の場合は、周囲を支配し、コントロールすることで防衛しようとします。そして、演技性パーソナリティ障害の場合は、極端な行動や嘘などまさに演技によって、自分に関心を引き付けようとするのです。これはすべて深層では、愛されたいという欲求があっての行動です。愛されたい思いが、見捨てられ不安となり、異常行動へとつながるわけです。ですから、根源的にはこの愛着障害を癒すような愛着アプローチがこれらの人を癒す方策なのです。

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