演技性パーソナリティ障害

演技性パーソナリティ障害とは、周囲の人から注目されていたい、自分に関心を持ってもらいたい、という欲求が異常なまでに強く、周囲からの関心や注目を引くために、身体的な自己顕示に精神力を注力していく行動様式をとるものです。行き過ぎたパフォーマンスや過剰な演技で、周りの人の注意を惹き付けようとする傾向を持ちます。

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外見的魅力を重視する親の強い影響を受けている

その欲求がどんどん昂じると、やがて、嘘やでっち上げを使ってでも注目を得ようとするようになります。人々の同情を得ようとするあまり、嘘をついたり、大げさに話を盛って、注目と関心を得ようとするのです。演技性パーソナリティ障害の人は、人間の内面的な魅力には関心が薄く、外見的な魅力ばかりに目が行きます。外見を飾ることや、外見を個性的にすることばかり考えるので、ファッションが独特であったり、身体に傷をつけるような形で個性を出そうとしたりします。また、性的魅力を強調しようとする傾向があり、服装にもそれが現れます。

養育者が外見的魅力を重視したことが一因

養育者の価値観が、唯物的であり、外見ばかり気にする傾向があったり、親の性的な側面を意識させられるような環境に育つなども要因として考えられています。性的虐待を受けた児童が演技性パーソナリティ障害の要素を持ちやすいとする専門家もいます。演技性パーソナリティ障害の人にとって、外見的魅力や性的魅力が過大なまでの存在感を持ち、人生を左右するのです。外見的な魅力によってしか自分自身を認めてもらえないという思い込み、心の空虚感が大きいのです。他者に対しては過度になれなれしい態度をとり、オーバーアクションであることが特徴です。注目に対するあくなき欲求があるといえます。また、対人関係においてはうそつきであり、それはすべて注目を引くための嘘なのです。

内面的魅力を高めることに意識を向けさせる

演技性パーソナリティ障害の傾向がある人に対して、その注目や関心を得ようとする行動様式を批判することは逆効果となります。そのような場合、自分自身を否定されたと受け止めがちです。その結果、かえって暴走を引き起こします。外見的魅力を認めつつも、内面的魅力を高めることの大切さに気付かせていくことが大切です。内面的な知性や感性を磨くことの大切さに気付けるような環境が構築されることで、行き過ぎた演技性の行動は治まっていくようになるでしょう。内面的な魅力を指摘し、評価することが重要です。また、人とかかわる仕事、ボランティアなどの活動で社会とかかわるようにすれば、演技性の傾向をより良い形で活かしていくこともできるようになります。注目されることへの欲求は非常に大きいのでそれを抑え込むのではなく、うまく活かすようにすることがポイントです。

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