愛着障害の克服と家庭環境

リストカットやODなどの自傷行為は、自己破壊願望が根源にあります。これは、自己否定の観念であり、愛着障害の産物です。幼児期に十分な愛情表現を親から受け取れないと、このような自己破壊の観念の保持者つまり愛着障害になりがちです。これがパーソナリティ障害の発症に深く関係していると考えられているため、幼児期の母親、父親の対応はきわめて重要です。

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愛着障害と家庭環境

今は、共働きであることが当たり前であるかのように言われています。幼児期には、特に五歳ぐらいまでは、母親が常時、自宅にいて、子供と密着し、たえず保護と愛情を与えることが情緒を安定させるのです。それが人格を円満とし社会に益する人材を育てるもとです。愛着障害の人を減らすにはこれしかありません。ですから、社会を良くしたいのであれば専業主婦を支援しなければならないのです。また、親学の普及も重要です。教育の現場がこの問題を重視し、改革されなければなりません。

愛着障害の予防法を学校教育の場で教える

母親の愛情が幼児の潜在意識に大きな影響を与えることを中学生ぐらいから教育しなければ取り返しがつかないのです。自殺を願う若者やリストカットをする愛着障害の若者はその意味で国の無策の被害者でもあります。自分の死を願うことと他人の死を願うことは、潜在意識の世界では同義になります。これは呪いをかけているのと同じことなのです。愛着障害は親の愛を十分に受けられず自我が未熟で恋愛や結婚に障害がある性格傾向ですが、正しい方法で自我を育てコミュニケーション術を学ぶと幸せな恋愛と結婚ができるようになります。そのためには、まず学校教育から改める必要があります。愛着障害の知識を国民に普及することが重要です。

発達障害と愛着障害の関係を理解する

発達障害は、脳機能の問題であると認識されてきました。実際に脳機能の発達のアンバランスが発達障害であるといえます。農薬の有機リンが食事から摂取されることで乳幼児や胎児の脳神経の発達に乱れが生じて、発達障害が発生するということも明らかになりつつあります。ところが、同じ発達障害の児童でも、その症状ゆえに両親に虐待されたり、暴言、暴力などを受けるケースと、愛情深く育てられるケースに分かれます。そして、両親からの愛情が不足したほうは、発達障害の症状がいっそう重くなります。これは、発達障害の症状と愛着障害が関連しているためです。ですから、パーソナリティ障害も発達障害も、愛着障害への着目がなくては、改善する道も開けないと言えるのです。

共感的、受容的な教育法の普及が必要

一方、愛情深く共感的に育てられる発達障害の児童には、愛着障害は伴わないわけですが、その結果、発達障害の症状もしだいに目立たなくなり、治癒していくこともあるのです。アスペルガー症候群の場合、成人すると診断基準を満たさなくなる事例も多いですが、その多くは、愛着障害のない、共感的な愛情のある育てられ方をしていることがわかっています。幼い時期に愛情深く世話をされた子どもはオキシトシンの分泌が増加し、オキシトシン受容体もまた増加します。その結果、親子関係や恋人との関係あるいは社会性における安定的な人間関係を構築する能力が成長していくのです。愛着障害においてはオキシトシン分泌も、受容体も低下していることがわかっており、愛情深く共感的に育てることが、発達障害の改善の大きな要因になっているのです。そしてそれはそのまま、パーソナリティ障害の予防にもつながるのです。同時に、すでにパーソナリティ障害の症状が出ているケースに対してもその改善のために有益であると言えるのです。

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