恋愛依存と愛着障害

恋愛依存とはどのような状態なのかといえば、パートナーへの精神的依存です。恋人の存在がないと生きていけないほどの辛さを感じる症状がある場合、恋愛依存症が疑われます。恋愛依存症の人は、自分に自信がなく、魅力がないと感じています。セルフイメージが低い状態が根底にあります。それで、自信と能力を持っている異性に魅力を感じるのです。

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見捨てられ不安と境界性パーソナリティ障害

もし、こうした相手と交際が始まると、とたんに、不安な状態に陥ります。恋愛依存症の人は、セルフイメージが低いので、すぐに相手を失う恐怖にとらわれるようになります。これを「見捨てられ不安」と呼んでいます。この不安感が湧き上がると、嫉妬心や猜疑心が生まれます。つまり、相手が浮気しているのではないか、私を捨てて他の異性に走るのではないかという妄想にとりつかれるようになるのです。嫉妬深くなると、相手の行動を制限したり、相手を束縛して、コントロールして安心感を得ようとし始めます。この結果、相手から重たい、うざい、うっとおしいという反応をもたれてしまいます。こうして、激しい喧嘩を繰り返すようになり、関係が破綻すると、再び、同じような恋愛を繰り返します。同一のパートナーとこれを繰り返す場合も多いです。このような状態になる人は、「境界性パーソナリティ障害」の傾向があるといえます。そしてその背景として愛着障害があるのです。

恋愛依存症の人が惹かれやすい「回避性パーソナリティ」の異性

回避性パーソナリティを持つのタイプは「自分の弱みを見せると利用される」と考えています。「親密さへの恐怖」を持つのが回避性パーソナリティの人です。これも、深層には愛着障害からくる「見捨てられ不安」があり、本心では自己評価が低いので、自分が捨てらても大丈夫なようにと、複数の恋人を作る人もいます。相手には自分に依存させ、自分は相手をうまく支配するのです。幼少期の両親からの愛情不足が原因で起こります。恋愛依存症はアダルトチルドレンの恋愛パターンだとされるゆえんです。愛情不足から自我の成熟が不完全なまま成長が止まった状態にあるのです。心理療法の助けを借りて、この不完全な自我に再び成長を促すと、この行動パターンは修正されていきます。これが、相手に依存する恋愛依存症の克服方法です。回避性パーソナリティ障害の場合も原因が同一なので、同じ方法で改善されます。ところで、恋愛依存症、回避依存症というのは恋愛様式から命名されるもので、病名あるいは医学的な名称ではありません。医学的には、パーソナリティ障害の人に多くみられる症状です。境界性パーソナリティ障害、依存パーソナリティ障害などで、恋愛依存がしばしば見られます。

軽度のパーソナリティ障害の人は増えている

パーソナリティ障害は、ありふれており、多くの恋愛トラブルの背景となっています。そして、パーソナリティ障害の背景が、愛着障害という「自我の未成熟」なので、心理療法でそれを育てていくと、症状は緩和されていくのです。心理療法の中でも、認知行動療法、催眠療法が有益です。認知行動療法は、認知の歪みを修正するウンセリングです。意識の中に沈殿して、ふだんは明確に自覚されない意識の中にある、「見捨てられ不安」「低いセルフイメージ」を修正していくのです。問題ある行動パターンに影響を与えている間違ったプログラムを書き換えていくことで、改善させていきます。愛着障害の人も、自分が自分の親となり、自分で自分を勇気づけるノウハウを学んでいくうちに、克服できるようになっていきます。その結果として、表面化している境界性パーソナリティ障害や回避性パーソナリティ障害もしだいに改善していくようになります。自分で自分を勇気づけることを訓練するのに最適なものが、アドラー心理学です。アドラー心理学は勇気づけの心理学ともいわれ、ダメ出しではなく、勇気づけによって人を育てます。

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