パーソナリティ障害は「愛着アプローチ」で治す

パーソナリティ障害や発達障害と診断をすることはできても、その患者さんがかかえる問題を解決して、改善をもたらすことは、現在の医学的手法では困難です。特に境界性パーソナリティ障害などに、どれだけ、安定剤、抗うつ剤を処方したところで、本人の思考習慣が良い方向に変化することなどありえず、何年も通院しても一向に改善しないということになります。

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愛着アプローチは医学モデルの限界を超えパーソナリティ障害を癒す

診断と治療の枠組みで病気と向き合う医学モデルに対して、愛着障害の観点から、心の問題を観察するのが「愛着アプローチ」です。現状では多くの精神科領域の疾患は、薬物療法ではうまく治っていません。その結果、何年も通院して薬を飲んでいるが、実際には何も良くなっていないことのほうが多いのです。また本人も自分が病気であるとの言い訳をもとに人生に前向きにチャレンジすることから逃げてばかりになり、結果的に不幸になるケースも増えています。医学モデルが下す診断のひとつである「障害」には、その言葉で周囲も本人もあきらめが先行し、本人の中に眠る可能性への働きかけを怠るようになるという大きな問題があるのです。岡田尊司さんの「愛着アプローチ~医学モデルを超える新しい回復法」という名著をぜひお読みください。

愛着アプローチは愛着の欠乏を癒し回復へと導く

「愛着アプローチ」の権威である精神科医、岡田尊司氏は、愛着障害を癒す愛着アプローチの歴史的な事例として、エミール・クーエの自己暗示療法とその弟子、マドモワゼル・コフマンが行った治療をあげています。コフマンは、子どもを抱いて、やさしくなでながら、段々よくなると語り掛ける暗示療法を行っていました。また、親に対しても決して否定的なことを言わず、肯定的なことだけを語り掛けるように指導していたそうです。この方法で、愛着システムという脳のオキシトシン系と直結した免疫系や自律神経系などを活性化させて、さまざまな症状を実際に改善させたのです。がん治療やがんの手術後の予後の免疫力にも愛着の仕組みが重要な関与をしていることを示す結果も出ているのです。本書は精神科医や心療内科医や心理カウンセラーだけではなく、愛着障害をかかえる本人やその両親、家族などが実践できるようにまとめられた名著です。

境界性パーソナリティ障害も愛着アプローチで改善する

境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害などの症状も、ADHDなどの発達障害も、医学的な治療では十分な効果が出ないことがほとんどですが、これら医学モデルでの治療に反応しない病態について、愛着障害の観点から、見直し、愛着の欠乏を癒す愛着アプローチを行うと改善するのです。


愛着アプローチ 医学モデルを超える新しい回復法 (角川選書)

もともと愛着について理論化した祖はジョン・ボウルビイというイギリスの精神科医です。ボウルビイは、母親と子供の間にある愛着という結びつきこそが、子どもにとって重要な役割を持っていることをさまざまな研究で明らかにしました。1970年代ごろまでにこの愛着理論は確立されています。安定した愛着と不安定な愛着の違いを生むのは母親が「安全基地」としての機能をしているか否かによることもわかっています。不安定な愛着パターンを持つ子供は近年増加し、成長してからさまざまなパーソナリティ障害などの発症につながっています。

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