境界性パーソナリティ障害は、ほかのタイプのパーソナリティ障害に合併していることも多いです。たとえば、自分に対する自信が過剰になりすぎると、自己愛性パーソナリティ障害になりますが、自信が不足しすぎると、依存性パーソナリティ障害や回避性パーソナリティ障害になります。依存性パーソナリティ障害とは、誰かに頼らないと生きていけない、という思い込みにとらわれている状態です。他人の顔色をみて、機嫌をうかがい、献身したりします。
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幼児期の環境がパーソナリティ障害を生み出す
依存性パーソナリティ障害も、自己愛性パーソナリティ障害も、幼児期の環境が関与しています。依存性パーソナリティ障害の場合は、横暴な親に支配されてビクビクして育った人に多いです。あるいは子供のときから病弱な親や不安定な親の面倒をみていた人に多いです。つまり、パーソナリティ障害の原因としてもっとも大きいのが、親の影響です。親からの愛情や保護が必要なだけ得られたかどうかが重要です。親による不適切な養育は、子の愛着形成を妨げて、愛着障害という状態を作り出します。この愛着障害が根底にあって、そこから、さまざまなパーソナリティ障害へと進んでいくという場合も多いのです。子育てが適切にできない親が増えた結果として、パーソナリティ障害も増加しているといえるでしょう。
ネグレクト(育児放棄)はパーソナリティ障害の温床
育児放棄(ネグレクト)されたり、見捨てられる体験は、人格を不安定にして傷つきやすくしてしまうのです。特に乳幼児期の環境が重要です。克服させるには、本人の気持ちや意思を積極的に聞くようにし、自分の意見を言えたら評価するという積み重ねが大切です。親によって共感的、受容的に接してもらうことで、子の愛着形成は健全に育ちます。ところが親の態度が気分でコロコロ変わったり、親が情緒不安定であり、イライラ、ヒステリーのような日々であると、子は愛着障害に至ります。そのまま成長していくなかでパーソナリティ障害に至るケースが多いといわれています。現代は、離婚も増えているし、親が子にハラスメントをする家庭も増えています。それゆえに、愛着障害が増えているのです。愛着障害にしない子育てを普及させることは、パーソナリティ障害を予防することにつながるということです。
パーソナリティ障害の親は子供をパーソナリティ障害にしてしまう
強迫性パーソナリティ障害の親は子供を過剰に束縛する傾向があります。それは子供を依存性パーソナリティ障害にさせやすいことがわかっています。また、子も強迫性パーソナリティ障害になることも多いです。親にされたように、自分が親になるとわが子にマイルールを強要するようになるのです。また、境界性パーソナリティ障害の親は、子供を育てる際にも、相手をふりまわすような接し方をするため、子供も愛着障害になっていき、やがては境界性パーソナリティ障害にさせやすいのです。パーソナリティの歪みは、親から子へと連続していく可能性が高いのです。したがって子育ての方法をきちんと教育していくことが発症の予防につながります。小学校や中学校や高校生の時に、学校の授業として、子育ての心理学や、愛着障害に関する知識、パーソナリティ障害に関する知識などを教えることがこうした精神疾患の患者を減らし、また、自己治癒を促進させることにつながるといえるでしょう。