パーソナリティ障害のグレーゾーンについて

パーソナリティ障害とは、診断基準に基づいて診断されるものです。診断基準は複数の症候を満たすことで診断される形式です。そのため、いくつかの症候を満たすけれど、診断基準を満たすには至らないグレーゾーンのケースがかなり多いのも事実です。こうしたパーソナリティ障害とまでは診断しきれないレベルのパーソナリティの偏りは、かなりの割合で存在しているとみられています。

目次

パーソナリティの偏りが強いが診断基準を満たさない

診断基準を満たすほどの生活上の支障がないが、パーソナリティの偏りはあるという人の場合、生きづらさを抱えて苦しむことも多くなります。グレーゾーンの段階だったものが、生きづらさを抱えて生きるうちに、症状が悪化してついにはパーソナリティ障害の診断基準を満たすようになるケースもあります。たとえば、恋愛に失敗し、失恋したり、恋人と別れたりしたことがきっかけで悪化していくケースもしばしばみられます。職場での人間関係に行き詰ったことで悪化するケースも多いです。

グレーゾーンからの悪化を防止するには

悪化を防止したり、グレーゾーンでも生きづらさを解消していくためには、愛着障害を克服していくことが有益です。愛着障害を克服するには、いろいろな方法が考えられますが、誰でもとりくみやすい方法としては、アドラー心理学を学ぶ方法がよいかもしれません。アドラー心理学では承認欲求を手放すことを重視しています。愛着障害のある人は承認欲求が強く、そのために対人関係でトラブルを発生しがちなところがあります。したがって、承認欲求を手放すことを学ぶ、アドラー心理学は愛着障害の克服の助けとなると考えられるのです。また、アドラー心理学においては、認知の歪みを見破り、認知というフィルターで世界を見ていることを認識し、認知に縛られない生き方をめざします。

認知の歪みや承認欲求へのとらわれからの解消

アドラー心理学においては「課題の分離」という考え方を訓練します。他者と自分とのあいだに、課題の分離という境界線を設定することで、過度の依存やコントロール、あるいは承認欲求などの問題から離れることを可能とします。また、他者や社会とのかかわり方について共同体への奉仕という視点を持つことを教えています。これらの考え方は、愛着障害を克服するうえで効果的な処方箋となりえるのです。パーソナリティの偏りがあるグレーゾーンの人にとって、アドラー心理学を学ぶことは、生きづらさを克服することにつながるということです。さらに、アドラー心理学については、マンガで学べるものや、コミックで学べるものが複数、出版されており、わざわざ専門の講座に申し込んだりしなくても、書店レベルでの情報収集ですべて解決できます。その意味でも、誰にでも取り組める安価な対処法として優れているといえます。

グレーゾーンについて理解を深める良書

グレーゾーンという考え方は、パーソナリティ障害のほか、いわゆる発達障害、正式には自閉スペクトラム症と呼ばれている発達の偏りにおいても重要です。発達障害のグレーゾーンも増えているためです。増えているというのは、昔からあったものが、認識されるようになったというのが真相かと思います。こうしたグレーゾーン症例に焦点をあてて、さまざまなタイプを解説し、自分で克服するための方法についても取り上げている良書があります。自分自身あるいは身近な人がグレーゾーンではないかと思う場合、この本を読むことで判断できるようになります。
発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法 (SB新書)

あわせて読みたい関連記事: