強い自己否定と他者不信が境界性パーソナリティ障害の特徴

境界性パーソナリティ障害は、強い自己否定と他者不信が心の背景にある病気です。自分には生きる価値がないという観念がとても強いのです。見捨てられることへの過敏性があります。そして情緒が不安定です。これらは愛着障害を根本原因として発症しています。良い子で優等生として育ち、子どもの頃に甘えることがあまりできなかった人が境界性パーソナリティ障害になることも多いです。

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乳幼児期の母親の愛情が重要

発症のきっかけは、本人にとっての衝撃になるような事件です。たとえば、失恋や対人トラブルや中絶や流産などがきっかけになることがあります。また、幼い頃の家庭環境が不安定で良心の愛情が十分に受けられなかった人にも境界性パーソナリティ障害が多いです。母親の愛情を十分に受けられず、その子どもの安心や安全が守られないことで、強い自己否定の観念や、他者不信が生み出されていきます。そして思春期を過ぎたころに、大きな挫折やストレスがかかると、心の均衡が保てなくなって、境界性パーソナリティ障害を発症していくのです。性的虐待や暴力、ネグレクトなど親に放置されること、養育者がコロコロ変わることなども原因になります。

境界性パーソナリティ障害の症状

境界性パーソナリティ障害は、見捨てられ不安と呼ばれる、見捨てられることへの過敏なところがあります。そして、情緒が不安定で対人関係が苦手です。対人ストレスから、自傷行為や自殺企図などの自己破壊衝動がでてくる傾向があります。薬物乱用などの自分を損なう行為もあります。境界性パーソナリティ障害の根底にあるのは、自己否定の意識です。とても強烈な自己否定の感覚を持っています。また人間不信をもっていて、同時に愛情に飢えています。自分が生きていることの意味が見出せない人が多く、死にたいとか消えたいといった言葉がよく出ます。そして困難にぶつかるとそれが強大になり、ついにはすべてを終わらせたいという衝動につながるのです。その結果、リストカットをしたり、大量服薬、つまりオーバードーズをしたりします。

職場のトラブルメーカーとなる境界性パーソナリティ障害

対人関係のトラブルは大変多くて、約束をドタキャンしたりもします。感情の起伏も激しく、突然に落ち込んだり、突然に激しく怒りだしたりします。人への依存がつよいのにもかかわらず、その依存している相手をも批判して攻め立てるという傾向があります。境界性という言葉は、精神病と神経症の境界であるという意味です。人格障害(パーソナリティ障害)が、幼児期から思春期にかけての生育環境、特に両親、保護者にどのように接してこられたかが、重要な要素となって、発症していることがわかるほど、親学や子どもの育て方についての正しく普遍的な情報を普及させることが、社会に人格障害を増加させないための対策であることがわかってきました。

見捨てられ不安を抱えるパーソナリティ障害

親に過剰に束縛されたり、優等生でいないと愛してもらえないなどの条件付愛情、あるいは母親が自分でわが子を育てないで、他人に任せてしまうことなど、子どもはさまざまな状況で、見捨てられ不安を植えつけられ、自己重要感を損傷し、認知の歪みを増幅していくのです。これがパーソナリティ障害の発生の土壌になっています。いま、育児休暇を三年に延長できるようにする政策が検討されていますが、パーソナリティ障害の増加を阻止する上では、非常に有効な方法であるといえます。

子供を預ける施設を増やす意味がない

母親が3才を過ぎるまで子どもに密着して育てること、は子どもが愛情の欠乏状態になることをある程度、防止できるからです。ただし、いっしょに母親がいるだけでは、完全ではありません。その母親が子どもに正しく愛情表現を行い、子どもの潜在意識に安心感、満足感、安全といった情緒の安定化をもたらす言葉と行動を行うのでなければいけません。そのためには、妊娠した女性や乳幼児を抱える母親への親学の講習会などをもっとたくさん開催し、パーソナリティ障害や精神疾患を予防するための、いわば愛着障害を子どもに起こさないための親の心構えをセミナーやパンフレット配布などで急ぎ、啓蒙する必要があります。

愛着障害を予防するための知識を学校で教えるべき

また、小学校高学年や中学校、高校の保健体育の授業や道徳の授業の中で、人格障害の予防のための知識、愛着障害や愛情欠乏に子どもがならないための親の心構えを教科として、教える必要があるのです。親学や子育て学というものを啓蒙するのです。そのうえで、三歳を過ぎるまでは母親の膝元に幼児がいつでもいられるようにすべきで、ゼロ歳児保育の促進や保育所の拡充などは、親の都合、経済の都合ばかりを優先した間違った政策だといえます。むしろ母親が子どもといっしょにいられる時間を増やすことが、人格障害や精神疾患を予防するのです。人間形成の障害、人格形成の障害を予防するには、共働きは有害であることのほうが大きく、専業主婦でも生活できるような社会施策がむしろ重要であり、その意味で子供手当、出産報奨金、配偶者控除、消費税廃止などをむしろ拡充して、家で子どもを育てる母親を守るべきなのです。

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