境界性パーソナリティ障害は、女性のほうが約四倍も多く通院治療を受けています。実際には境界性パーソナリティ障害の発症の男女差はないと考えられています。つまり、女性のほうが重症化しているとも考えられるのです。この理由の一つとしてあげられているのが、女性ホルモンの分泌です。女性ホルモンの分泌がピークになるにつれて、症状は悪化し、そのピークを過ぎる三十代半ば以降になると、境界性パーソナリティ障害の症状が軽くなってくると考えられているのです。女性ホルモンが生み出す、感情的な反応性や潔癖さなどが、症状に影響しているとされ、分泌の変動により、うつ状態がおこったり、さまざまな気分障害に移行するのです。
女性ホルモンとパーソナリティ障害
通院などの治療を受ける男女比は女性が四倍も多い理由はこの女性ホルモンの作用にあるというのです。症状の程度が強くなれば、それだけ、自殺企図などの問題行動や自傷行為は出現しやすくなります。女性ホルモンで感情の反応が大きくなるためにこのようになるのです。そのため女性で十代後半から三十代前半までが境界性パーソナリティ障害の症状がもっとも重くなると考えられています。それよりも年齢があがれば、これまで激しかった症状が次第に弱まり、落ち着いてくるということです。年齢を重ねることが、未熟なままであった人格を育てて、思考の歪みの程度がしだいに修正されて、人間的に丸くなるような形で、未熟さの程度が改善する結果、症状が軽快してくるという要素もあります。いずれにしても、境界性人格障害とは、年齢を重ねるに連れて、症状は緩和されていく可能性が高いということがいえるのです。
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