境界性パーソナリティ障害は強い自己否定と他者不信がある

見捨てられることへの過敏さと境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害は、生きることに積極的な意味や自分の価値を感じることができないため、死にたいという気持ちを抱いていることも多く、人間関係で失敗したり、うまくいかないことがあると、その破壊衝動が急速に強まることがあります。

その結果、リストカットや大量服薬などの危険行為を繰り返したり、対人関係をいっそうこじらせて、口論などのトラブルを起こしたり、約束のドタキャンなどの信用を失墜する行為を繰り返したり、それまでは味方と認識していた相手を突然、敵視するようになり、激しい批判や中傷を繰り返したりするようになることが多いです。

愛情への飢餓を抱える境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害の特徴として愛着障害を抱えているという点があります。愛情への飢餓があり、同時に人間不信と自己否定を持ちます。人間不信は見捨てられることへの恐れや過敏な反応となって表現されます。そして、情緒不安定であるため、対人関係が安定的に構築できず、長続きはできません。恋愛においても同様であるため、なかなか良い恋愛ができず、結婚も難しくなります。こうした自分の対人関係の失敗や恋愛及び結婚の不成功をきっかけにして、投げやりになり、リストカットやオーバードーズなどの自殺未遂のような行動をとります。

両極端に変動する気分と対人関係

境界性パーソナリティ障害には、「二分思考」あるいは「二分法的認知」という傾向があります。これは「全か無かの思考」です。すべて良いという状態か、すべて悪いという状態かのどちらかしかなく、グレーゾーンというものがありません。恋愛の場合も、最高の運命の人から、最低の最悪の人へと評価が一気に反転するのです。このような傾向になる背景として、親の期待どおりの「良い子」しか認められず、ありのままの自分が受け入れられなかったことがあった可能性が指摘されています。多くの場合、母親あるいは父親にも、同じような二分思考の傾向があったと考えられています。

親に対して強いこだわりを持つことが多い

境界性パーソナリティ障害の特徴の一つに、親に対する強いこだわりがあげられます。否定的な感情を親に対して抱いていることが多く、親のことを考えただけで冷静さを失い、情緒不安定になるケースも多いです。見捨てられた体験や否定された体験を心の傷として抱えていることも多いです。また、つらい体験には蓋をして考えないようにすることで心の安定化をはかろうとするタイプもいます。このタイプは反対に親を理想化し、親に本音がいえず、逆らえないという関係です。親を理想化し、自分を否定することも多いです。これは、境界性パーソナリティ障害が養育の要因を強く受けていることに由来しています。

境界性パーソナリティ障害は環境要因が六割

多くの研究がありますが、遺伝要因は、平均すると四割以下であり、環境要因は六割とされています。特に一卵性双生児の研究で、双子の一方が境界性パーソナリティ障害であっても、もう一方は、境界性パーソナリティ障害ではないというケースが多いのです。遺伝よりも、どのような育てられ方をしたのかが、大きく影響しているということです。虐待や幼いころの離別、支配的な教育、否定的で不安定なかかわり方の親。といった、いわゆる愛着障害を引き起こすような養育環境こそが、境界性パーソナリティ障害を誘発させると考えられるようになってきました。もちろん親のせいばかりではなく、社会環境の変化も関係しています。

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