境界性パーソナリティ障害は、恋愛は結婚において失敗することが多い傾向があります。見捨てられる不安という思い込みがあるがゆえに、親密な関係になればなるほどパートナーから見捨てられることを恐れて、見捨てられまいとして、さまざまな行動をとるようになります。ところが、この見捨てられないための行動が、かえって、相手を混乱させて、安定的なパートナーシップを維持していくことを困難にしてしまうことになります。本人の見捨てられまいとする意図とは正反対に作用してしまうことになり、結果として、関係性が早期に破綻していくことになるのです。こうした経験の結果、境界性パーソナリティ障害の人はますます、自己否定の意識が強化されてしまい、自分は愛される資格がない存在なのだという世界観を構築していくことになります。そして、言動がますます自己防衛、他者否定に拍車がかかり、周囲の人々から距離を取られてしまうようになります。
境界性パーソナリティ障害の改善は自己肯定と人への信頼感を取り戻すことから
境界性パーソナリティ障害が改善するには、まず、その根底にある愛着障害を癒す必要があります。愛着障害は、見捨てられ不安や低い自己価値を生み出す根源です。愛着障害となった原因は、肯定的なメッセージや共感的なメッセージを幼児期に十分に受け取れず、その反対に否定的なメッセージや非共感的なメッセージを受けてしまったからです。この流れを変えるには、自分自身が自分自身にセルフケアをしていくことが大切です。自分への語り掛け、つまり独り言を改めていく訓練が必要です。極端に物事を否定的に観察したり、二分思考に走ってすべてを敵か味方にすべてを分類して考えたり、悲観的予言を繰り返す偏った極端な思考の癖をじょじょに改めていくことが治癒の道です。認知行動療法をはじめとする思考習慣の偏りの緩和が大切です。薬を飲むよりも心理療法に力を入れることが効果的な取り組み方なのです。