情緒不安定性パーソナリティ障害は、境界性パーソナリティ障害と重なる概念です。このタイプの人がもつ特徴は、一言でいうと「感情の整理」ができないのです。誰かに何かをいわれると、烈火のごとく怒り、あるいは激しく落ち込み、その結果、極端な行動をとります。友達と縁をきったり、恋人と別れたり、すぐに縁をきることで、自分の不安定さを解決しようとします。
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被害者意識と疑心暗鬼で対人関係を壊す
見捨てられる前に先に縁を切ろうとする疑心暗鬼の塊となります。その結果、友達は減り、どんどん孤独になります。このパーソナリティ障害の人は、「見捨てられ不安」が過剰にあり「自己重要感」が低いのです。そのため、わずかな言葉の行き違いから、相手の中に悪意を見出し、自分を責めている、攻撃していると受け取ることが特徴的です。猜疑心から、相手を攻撃しますので、相手もそれに返す言葉が出てきます。すると、他人の言葉にすぐに傷つき、いっそう自分の安定が損なわれます。するとますます、行動や言動が極端になり、破壊的な行動をしてしまうのです。
低すぎる自己価値と見捨てられ不安にふりまわされる
すべては自分への自信がないためにおこっており、それは幼児期の生育環境、両親との関係に背景があります。しかし、このタイプの人も対人関係は、「出したものが返ってくる」ことを悟ると、心の安定性を回復し、治っていくのです。自分の心に何を浮かべるか、それがすべてです。そこに気がつくと変われます。情緒不安定性パーソナリティ障害ではない人でも、もちろん同じ原則が働いているのです。自分の中に安定感を構築することは、未熟な人格を育てて成熟へ導きます。自分の幸せや喜びを生み出せるのは自分です。決して他者によって幸せになるものではないのです。同様に自分の不幸と苦しみを生み出すのは自分です。決して他者によって苦しむのではなく、被害者でも加害者でもないのです。
心の安全基地となる援助者の存在が治癒促進のカギ
未熟な状態にある人格を成熟させるためには、その手助けをしてくれる心の安全基地となってくれる援助者がいることが理想的です。どんな時も安定したかかわり方で、見捨てることなく、見守ってくれる人なら、心の安全基地としての役割を担うことができます。親や配偶者がそういった心の安全基地になってくれる環境があれば、情緒不安定性パーソナリティ障害の人は時間がかかっても、次第に心の安定性を身に着けていくことができるのです。心の安全基地の役割を果たせる心理療法家やカウンセラーと出会える場合は治療は成功し、幸せな人生を構築できるまでに成長できることも多いのです。