パーソナリティ障害は非認知能力が低い

パーソナリティ障害の人の特徴として、非認知能力が低いということがあげられます。非認知能力とは、数値化できない人間としての生きる力を意味するものです。対人関係を築く力や、くじけない力や発想を転換したり、物事を別な面から観察できる力などの諸能力を指している言葉です。パーソナリティ障害の人はこの非認知能力がきわめて低いために対人関係で失敗し人生に行き詰ることが多いのです。

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非認知能力を高める鍵は幼少時の愛着形成

IQやテスト結果などの能力は数値化できる能力であり、認知能力と呼ばれているものです。一方、問題解決能力や柔軟性、心の回復力、自制心などは、数値化はできません。共感力や、ものごとを最後までやり抜く力なども数値では推し量ることはできません。このような能力を指して非認知能力と呼びます。2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授がシカゴ大学で幼児教育を研究した際、就学前教育を受けた子どもたちは、学習における部分だけではなく、誘惑に打ち克つ自制心や難解な問題を粘り強く解決する能力などの非認知能力が高まっていることを発見したのです。その後、非認知能力を高める育て方の中で、子どもに愛情を注ぎ、肯定し、承認し、勇気づけるようなかかわり方が重要であることがわかってきました。そして、これは、愛着障害にならないための子育ての方針とほとんど重なっていたことも明らかになってきたのです。実際に、愛着障害をかかえて、パーソナリティ障害となったケースでは、非認知能力は低かったのです。

パーソナリティ障害を予防するには非認知能力を高める

パーソナリティ障害の予防法は、10歳までの幼児期にあることが知られています。この時期に、親からの十分な受容的で共感的なかかわりを受け取り、健全な愛着形成をしておけば、パーソナリティ障害を発症することは避けられるのです。思春期以降に発症しやすいパーソナリティ障害を、10歳までの幼児教育で回避できるということなのです。これと同じく、非認知能力を高める子育ての場合も10歳までの期間が重要視されています。非認知能力を高める子育ての方法として、子どもの自己肯定感を高める親子の会話を重視しています。大人との対話が子どもの脳を発達させるということがわかっており、子どもの自己肯定感を高める会話は、子どもへの勇気づけ、子どもの努力への評価、子どもが自分でルールを決めてそれを守らせることを支えるといったかかわり方で、達成されるとされています。親が子どもに語りかける、このような良き言葉の総量が多いほど、子どもの非認知能力が高まるとされています。10歳を過ぎてからでも、かかわり方の原則は同じです。

パーソナリティ障害を克服するための対話の仕方

大人のパーソナリティ障害であっても、基本原則は同じです。自己肯定感が低いと、何事にも前向きに取り組めないので、自己肯定感を高める工夫が必要となります。親が子どもの存在を否定したり、完ぺき主義で押さえつけることが、子どもの自己肯定感の低下を招きます。これと同じで、パーソナリティ障害の傾向がある人に対しては、自己肯定感を高めることを手助けしていくことがその人を良い方向に導くことにつながります。あなたの身近にいるパーソナリティ障害の人というのは、大きな子どものようなものです。未熟な人格を抱えたまま大人になり、生きづらさに苦悩している状態にいるのです。子どもの非認知能力を高めるには、子どもの自己肯定感を高めるかかわり方が大事なのと同じで、それらのパーソナリティ障害の人たちにも、勇気づけ、自己肯定感の保持を基本として、かかわることが大切となります。欠点をなおすより、長所を伸ばすほうに意識を向けて、自己肯定感を高めるように言葉をかけることが対話の基本です。

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