回避性パーソナリティ障害とは、引きこもりの人によくみられるパーソナリティ障害です。家族など、ごく限られた人にだけ安定的な人間関係を築くことができるが、学校や会社など不特定多数の人が集まる環境を極度に恐れます。新しいことへの挑戦を避け、困難を回避しようとするのです。
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回避性パーソナリティ障害の原因
回避性パーソナリティ障害がどのようにして発症するのかについてはまだわかっていないところも多いですが、有力な説として、もともと、回避性愛着障害があると、回避性パーソナリティ障害になりやすいといわれています。回避性愛着障害は、親密な関係を避けたり、責任や面倒を避けるといった傾向があります。そして傷つくことを避けるあまり、引きこもったり、すぐに挫折して、その場から逃避することもあります。ネガティブ思考の傾向があるので、口癖は、泣き言や愚痴や不平不満になり、「でも、だって、けど、やっぱり、どうせ」という接続詞が多くなります。もともとセルフイメージ、自己重要感が低いために、失敗することで、ますますセルフイメージを下げてしまいます。この状態が極度に高まれば、そのまま回避性パーソナリティ障害ということになります。
回避性パーソナリティ障害の思考
セルフイメージが高い人は心根が素直です。「自分は何も知らない」ということを悟っていますから、成功するための方法を教えられると、「なるほど、そうですね、そうします。」 と素直に受け取ります。その理由は、二つあります。ひとつは、「自分は何もわかってない」という客観的な自己分析ができているからです。もうひとつは、学ぶことや習得することで、人間は誰であろうと、向上できるのだということを理解しているからです。この二つの自覚がない場合、最初から、「そんなの無理です」といって、困難から逃避しがちです。自分を変えようとするよりも、ぬるま湯の中にいて、悲劇の主人公になっているほうが安易ですが、幸せになったり、理想実現したりするには、このぬるま湯から出る必要があります。
回避性パーソナリティ障害の克服
思い通りにならなかった時、その原因を探り、足りなかったところを見つけ、改善することもできます。自分に不足するものを補い、修正して、再チャレンジする道があります。その繰り返しを続けるうちに、自分がレベルアップして成長してくるので、やがて理想実現できます。失敗したとき、上司から批判されたとき、不運にあったときに、「誰でも最初は色々間違えるものだ。でもそこから学び取ることで成長するんだ。」という考え方を持てば、無用の苦しみから解放されます。失敗やミスがおきる理由は、自分の欲する成果と、自分の努力の中身とのズレがあったためです。そのズレをあるがままに認め、それを改善するだけでよいのです。そのズレを認めることができないから「なぜこんなことになるかわからない」と言ってみたり、「自分にはできない」と感じてしまうのです。
回避性パーソナリティ障害と認知行動療法
最初からうまくいくのが当たり前だという思いがあり、そうならないから落ち込むのです。むしろ、「最初からうまくはいかないことも多い」という前提で行動してみてはいかがでしょうか。どこが悪かったか、そのズレを認識して、毎日毎日、うまくいく為に修正を繰り返せばよいのです。試練にあったとき、すぐにあきらめない訓練をしましょう。見方を変えて、試練を乗り越える意義を考えてみませんか。精進努力していくことはすばらしいことなんだと考えることは、あなたにもできます。このように考え方を客観的にし、物事を俯瞰できるようにするのが、認知行動療法をはじめとする心理療法です。考え方を変えることができれば、少しずつ回避性パーソナリティ障害は改善されていくのです。