自己愛性パーソナリティ障害は、敵とみなした相手を激しく攻撃します。強い劣等感を背景に周囲を敵視するのです。あなたは職場や学校、あるいはSNSなどのネットの場で、突然、誰かから、激しい非難を浴びせられたり、批判的なメッセージを送られたりした経験はありませんか?
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他者に寛容性がない自己愛性パーソナリティ障害
突然、その静寂が破られ、あなたへの批判や、誹謗中傷、批判的なコメントが寄せられるのですから、時に、傷つくこともあるでしょう。こうした行動をしかけてくる人の中には、相当な割合で、自己愛性パーソナリティ障害の人が含まれていると考えられます。また、それについで多いと考えられるのが、境界性パーソナリティ障害の人です。自己愛性パーソナリティ障害の人も、境界性パーソナリティ障害の人も、きわめて被害者意識が強いのが特徴です。何でも自分に対する批判や追及であると受け取る傾向があります。他責傾向が強いのです。
自己愛性パーソナリティ障害は劣等感を背景に他者を攻撃する
自己愛性パーソナリティ障害の人は、そもそもが脆弱な自己重要感しか持ち合わせていないので、自分を守ろうと必死なのです。それゆえに、あなたに反撃をすることで、自分を守ろうとしているのです。このような体験をすると、ネットやSNSが怖くなるかもしれません。ネット上でなくても、リアルの人間関係においても、このような「問題児」ともいうべき人物がしばしば存在します。こうした人々から、身を守るためには、彼らの批判は攻撃の背後にあるのは、劣等感であったり、恐れであったりする脆弱な人間性であることを理解することです。
攻撃されてもまともに受けずやり過ごす
彼らの言い分を正面から受け取れば、こちらも傷つくことになりますので、話半分といった心持ちで、軽く受け流すのが最善です。攻撃や批判に反論すればするほど、このタイプのパーソナリティ障害にとっては、火に油をそそぐようなものです。いっそう、激しく食いついてきて、論争の世界に引きずり込まれることになります。一緒になって消耗戦に時を費やすことは不毛です。まともに相手をせず、距離を置いて、そっとしておけば、やがては、反対に擦り寄ってきたりすることもあります。こうした行動様式の背景にあるのは、「見捨てられ不安」という心理です。境界性パーソナリティ障害の人には特にこれが顕著です。
いじめの背景にも自己愛性パーソナリティ障害
いま、パーソナリティ障害の人が増加しているのは、その背景に、愛着障害があるからだといわれています。幼児期に両親から健全な愛情を受けられていないために、人格の発達がアンバランスになっているのです。パーソナリティ障害の中でも、自己愛性パーソナリティ障害や境界性パーソナリティ障害は職場や学校にありふれています。いじめ事件の背景にこれがある場合も多いです。いじめっ子になりやすいのが、自己愛性パーソナリティ障害です。他人への愛情や思いやりにかけ、時にエゴイズムの塊になるからです。こうした未熟な人格を育てなおしして、健全なレベルまで成熟させるには、根気よく、カウンセリングやコーチングをしていくしかありません。しかし、もっとも重要なことは、本人が、自分の持つ偏りを逃避せずに客観視することです。本人が自己愛性パーソナリティ障害というものを理解し、自分を客観視し、認知の歪みをひとつひとつ解消する地道な努力ができれば、改善することはできます。