情緒不安定性パーソナリティ障害という言葉を耳にすることが増えてきました。情緒不安定性パーソナリティ障害とはどのような人格障害なのでしょうか。それは、境界性パーソナリティ障害と、本質的には同じです。この二つの疾患名の何が違うかというと、情緒不安定性パーソナリティ障害はICDによって分類されていること。境界性パーソナリティ障害はDSM分類によって分類されているという違いだけです。
ICD分類はヨーロッパが主流で、DSM分類はアメリカが主流です。これまで日本ではDSM分類が主流でしたが、少しずつICD分類に移行してきているのです。そのため精神科医のつける診断名が変化しつつあるということです。精神科医の中ではボーダーラインという言い方はしなくなってきています。
情緒不安定性パーソナリティ障害の本質
いずれにしても、この疾患は、人格形成の途上にある未熟な人格が根底にあります。そのために自分と他人の境界線があいまいになり、自己重要感を感じられなくなり、他人に見捨てられるのではないかとの不安に襲われることをきっかけに、突拍子もない行動に走り、自傷行為をしたり、自殺をほのめかしたりして、周囲の関心や愛情を得ようとします。
情緒が不安定になるという意味で、この呼称は、実態に即しているのかもしれません。そして認知行動療法などのカウンセリングを行って思考癖を改善して、人間的成熟を促すことで改善していくので、専門医や専門のカウンセラーの助けを必要とするのです。