増加している人格障害の患者達。パーソナリティ障害は、あきらかに人格形成が未熟なままで停止したものである。その証拠に認知行動療法をはじめとする心理療法で、患者が自己のパーソナリティの未熟さに気がついて、その克服を目指し始めると、これらの障害が改善傾向となっていく。これらの事実は、今の現代社会に、広く人間形成障害がおきていることを示しています。パーソナリティ障害も広く人間形成障害の一種であると考えてよいものです。
人間形成障害によって人格障害が発生
この視点をもつことで、境界性パーソナリティ障害や、自己愛性パーソナリティ障害は、心理療法を使って克服できることが理解できるはずです。未熟な人格を、専門家の助けを借りて、もう一度育て上げることで、その未熟性が成熟へと変容して、症状が改善していくのです。人格障害の多くは幼児期の生育環境の多大な影響を受けており、その負の影響が思考様式を縛り付けています。それを解除して、新たにセルフイメージを育て、コミュニケーションの方法を習得させるのが、心理療法の役目です。認知行動療法がその代表格です。
人間形成障害 (祥伝社新書196)