パーソナリティ障害と人間形成障害

パーソナリティ障害とは人間形成障害であると考える専門家もいます。人間形成障害とは、幼児期の生育環境における父性と母性の愛情のバランスよい受け取りができなかった場合に、人間形成が不完全なまま成長していくことで、発生するものとされ、それが原因となって、パーソナリティ障害や、うつ病が発症するとされます。

人間形成障害は機能不全家族から生まれるものが多い

人間形成障害の要因には、機能不全家族や、核家族化や、社会や地域の変化などがからんでいるとされます。そして、人間形成障害が原因となる疾患や問題としては、アトピー、気管支喘息、不登校、引きこもり、非行など、さまざまなものがあります。人間形成という視点での人格の再教育を行うことで、問題を解決するというのが、対処法となります。その意味では、認知行動療法などの心理療法は効果的であるといえます。実際には、森田療法やマインドフルネス認知療法や、さまざまな心理療法を使って、人間形成障害を克服しようと試みます。

かつて母源病や父源病と表現されたこともある人間形成障害

人間形成障害はかつては母源病とも呼ばれました。この名称では母親にすべての原因があるかのように受け取る人も多く、それが社会問題化したこともありました。実際の人間形成障害は、母親、父親、家族、環境の複雑なからみあいで起こります。しかし、両親の影響が主となることは間違いありません。今では、境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害などの呼称が広く知られ、人間形成障害という表現を見ることは少ないようです。しかし、人間形成が不完全で未熟であるという意味を持つ人間形成障害という表現は、パーソナリティ障害を克服するために、人格を育成することが鍵となることを教えてくれる表現だといえるでしょう。

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