被害者意識が境界性パーソナリティ障害の対人関係を困難に

境界性パーソナリティ障害の人は、対人関係がことごとくうまくいきません。その最大の理由は、何でも人のせいにするからです。自分はいつでも被害者の立場に立とうとし、あの人のせいでこうなった。この人にこんなひどい思いを味わわされた。といったことばかり毎日、愚痴と不平不満です。家族に対しても、両親や兄弟姉妹を悪役に仕立て、自分は被害者なのだといいます。そして、彼らに謝罪を要求して、優位に立とうとするのです。その一方で自分の非は絶対に認めようとしません。会社などの職場でも、境界性パーソナリティ障害の人の他責傾向はとまりません。上司、同僚、部下、顧客、あらゆる存在から、被害を受けていると彼らは主張します。
自分は正しくて周囲が悪いと言い張ります。自分が被害者だと認めさせようとします。そして、謝罪を要求し、他者を謝罪させることで屈服させようとするのです。

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被害者意識は認知の歪みによって生まれる

このような傾向になる最大の理由は、境界性パーソナリティ障害の人は、自己重要感がきわめて低いからです。自分のことを内心では無価値だと感じているのです。プライドが高いように振舞いますが、それは仮面です。実際には脆弱な自我しか持たず、批判に弱くて、いつも自分を守ることに必死なのです。その裏返しが、他者批判であり、自分を被害者にまつりあげることで自己防衛をしているのです。もし、周囲がこの抑圧に屈して、少しでも非を認め、謝罪しようものなら、境界性パーソナリティ障害の人はますます、つけあがり、ますます同様のパターンで周囲を動かそうとふるまうようになります。やがて、家族も友人も疲れ果てて、この人の元を去っていくことになります。結果的に彼らは、孤独感にさいなまれ、ますます、被害者意識を増大させて、自己の正当化をはかろうとするのです。

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