愛着障害が境界性パーソナリティ障害の誘因になる

境界性パーソナリティ障害について原因は、まだ十分に明らかではありませんが、その背景に愛着障害があることがわかってきています。愛着障害というのは、愛情不足のために人間不信や不安を生じ、他者との関係性の構築が適切にできないものをさします。発達期の苦難の体験のひとつとされていて、母親や父親からの愛情が不足したり、虐待されたり、両親の離婚や蒸発や早すぎる死去などが愛着障害を引き起こすと考えられています。祖父母の言動なども影響します。幼児期に共感的な態度で受容的に育てられない場合におこります。母親などの養育者が身近にいなかったために母性的愛情を十分に受けておらず、共感的な育てられ方をしなかった場合におこりやすいことがわかっています。愛情の不足している養育環境が基礎になり、養育期につらい体験をしたことなどが、人格の健常な育成を障害している可能性が指摘されています。そのため愛着障害の改善をめざしながらの境界性パーソナリティ障害の治療となると、長期にわたって患者に心理療法的なアプローチをしなければなりません。患者が自身のうちにある愛着障害を自覚し、境界性パーソナリティ障害という病気を自覚し、治療者と協力して改善の努力を続けることで治るのです。支持的精神療法、認知行動療法、精神分析的精神療法などの精神療法などが中心になります。

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SSRIも補助的には有効だが境界性パーソナリティ障害の根治にはならない

科学的に有効であることがある程度明らかな効果の高い治療プログラムも開発されつつあります。薬物療法は、補助的なものですが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や少量の抗精神病薬が使用されます。症状を緩和できることがわかっています。多くは、人格の成熟により年齢とともに軽快していくことも判明してきています。加齢とともに、症状の激しい面がしだいに穏やかになっていきますが、継続的な心理療法が治癒速度を速めることもわかってきています。本来は個性であって、パーソナリティのタイプに過ぎないものが、病的な傾向を持つようになったものであるため、認知の歪みなどの偏りが是正されるにつれて、それは健全なパーソナリティの一種に成熟して安定化していくものだと考えられるのです。したがって、パーソナリティの特性を決して否定するものではなく、それが良い部分、長所になっていくように人格を成熟させることが治療の本質です。幼児期に成熟されないまま経過してしまったパーソナリティの未熟な部分を育てなおすということです。こうした心理療法のひとつには医師による催眠療法もあります。催眠療法はヒプノセラピーとも呼ばれ、潜在意識への暗示を効果的に使って、認知の歪みを是正していく心理療法です。現在は認知行動療法や、弁証法的行動療法が多く行われていますが、マインドフルネス認知行動療法やACT、そして催眠療法が効果を発揮することも多いです。

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