パーソナリティ障害の診断

人格障害(パーソナリティ障害)は、比較的新しい疾患概念であり、人間社会において大多数とは違う反応や行動をするグループを指しています。そのことで本人が苦しむか周りが困っている場合に診断がなされます。いつの時代にもその社会に適応できず、溶け込めない個性というものがありますが、それが過度で病的な場合に、疾患として診断されるのです。

目次

パーソナリティ障害と認知の歪み

パーソナリティ障害の症状の根源には、認知の歪みといって、ものの捉え方や考え方が偏向していること、感情や衝動のコントロールの力が未熟であるという人格の未発達、そして、対人関係の営み方の稚拙さがあります。これらは幼少時の環境によって結果的に作り出された側面もあります。そのため、人格の未熟さが背景にあるとも考えられているのです。性格が悪いのではなく、人格の成熟が未発達であることが、この病気の背景にあります。生きにくさがあるため、たえずストレスがかかる結果、他の精神疾患を引き起こしがちです。例えば、うつ病になったり、適応障害になったり、パニック障害になったり、といったふうに他の精神疾患が発症しやすいのです。

うつ病や双極性障害などの診断を受けてしまうケースも多い

結果的に、合併したほかの精神疾患で診断されて治療を受けるケースのほうが多いです。そのため、治療が後回しにされがちですが、本来は、ほんとうの原因を治療していくことで、続発したほうの疾患も治っていくものです。治療には、患者の病気への自覚と治療者との連携作業が重要です。適切な心理療法などの治療によって改善する可能性が高い病気です。いくつかのタイプがありますが、共通の特徴として、発達期~思春期から成人期早期に、その徴候が出現しています。認知、感情、衝動コントロール、対人関係などに、家庭や職場など広い場面で障害が出てくることも共通しています。

アメリカでは15%の人がパーソナリティ障害に罹患

アメリカでは、人口の15%が罹患しているとする研究結果がありますが、病識がないため治療につながる例は少ないです。他の精神障害を合併して、ようやく医療機関を受診することがほとんどです。境界性パーソナリティ障害は、薬物依存にかかる人が多い傾向があります。また、依存性パーソナリティ障害は、うつ病になりやすく、回避性パーソナリティ障害は、うつ病や不安障害になりやすい傾向があります。若い女性の境界性パーソナリティ障害では自殺未遂や自傷行為を行うことが多く、救急医療機関に運ばれることもしばしばあります。

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