気分が両極端にブレる境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害の人は、ものごとのとらえ方がいつも両極端です。これは幼児にも似ています。幼児も、ものごとをしばしば両極端にとらえますが、境界性パーソナリティ障害の人もこれと同じように、なんでも全か無で考えます。あるいは善と悪で考えます。

人間をみてもそれが敵か味方かの両極端で考える

このような思考のパターンを二分法的認知とか二分思考と呼んでいます。つまり100点か0点かしかないという思考のクセなのです。そのため、仕事や恋愛や対人関係などの物事がうまく運んでいるときには、かかわる対象の相手を尊敬し、美化し、愛情をそそいで、幸福感を持つようになります。ところが、うまくいかないことがあったり、ひとたび期待はずれな出来事がおこると、とたんに絶望感にみまわれて怒りをいだき、相手への敵意を燃やして最低の評価をするようになります。中間というものがないのです。

気分の変調と極端な思考

グレーゾーンがない思考のせいで、気分や言動が一気に反対の方向に変わります。このせいで、しばしば人間関係が破綻して、生きづらくなっていくのです。このような思考が生まれる背景は、幼児期に親の期待どおりの「よい子」しか認められないという育てられ方をしたことで、それ以外のありのままの自分が受け入れられない体験を繰り返したために思考の歪みが生じたことにあります。両親そのものも、子どもに対して、良い子、悪い子の全か無かの二分思考で接していたのです。その結果、母性的愛情を受け取ることが不足して、脳におけるオキシトシンというホルモンの分泌が低下して、潔癖な性質を誘発しているとの研究報告も出されています。

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